ERPコンサルタント、会計システムのSE、社内SEの仕事と公的統計

確認日 2026-10-31(調べ方)・制度は変わることがあります。個別の判断は公式の資料と専門家に確かめてください。

ERPコンサルタント、会計システムのSE、社内SEは、どれも業務とシステムの間に立つ仕事ですが、立つ位置が違います。ERPコンサルタントは製品を業務に合わせて導入し、会計システムのSEは仕訳の流れを作り、社内SEは自社のシステムを運用しながら改善します。年収は、3つとも単独の公的統計を確認できませんでした。近い職業の数字はありますが、広い区分の値なので、転職後の年収の目安としては使えません。

3つの仕事の違い

以下は編集部の整理です。会社や案件によって範囲は変わります。

項目 ERPコンサルタント 会計システムのSE 社内SE
主な勤務先 コンサルティング会社、導入ベンダー SIer、パッケージベンダー 事業会社の情報システム部門
主な相手 顧客の経営層と業務部門 経理、開発チーム 自社の業務部門、ベンダー
中心の仕事 業務と標準機能の差の分析、設定、移行 要件定義、仕訳連携、帳票、改修 企画、発注、運用、問い合わせ、統制への対応
使う知識 製品の知識、業務プロセス 仕訳、DB設計、連携方式 自社の業務、契約、IT全般統制
会計の使いどころ 科目体系と業務プロセスの設計 計上の時点、消込、締め 法改正の影響の判断、監査の対応

ERPコンサルタントの仕事

ERPは、会計・販売・購買などのデータを1つにつなぐパッケージです。詳しくはERPとはで説明しています。

job tagはERPパッケージコンサルタントをITコンサルタントの別名として載せています。ITコンサルタントの仕事は、顧客の課題を整理し、ITでの解決策を提案することです。経営戦略に近い仕事から、システムの構成を検討する仕事まで幅があります。

導入の案件は、一般に次のように進みます。製品や方法論によって呼び方は変わります。

ERP導入の流れの例

  1. 1

    現状の業務を整理業務部門

    仕訳なし

  2. 2

    標準機能との差を分析ERP

    仕訳なし

    標準に業務を合わせるか、追加開発するかを判断します

  3. 3

    科目やマスタを設計ERP

    仕訳なし

    勘定科目、部門、取引先の持ち方を決めます

  4. 4

    設定と追加開発ERP

    仕訳なし

  5. 5

    データ移行旧システム、ERP

    残高の移行仕訳

    移行前後の残高の一致を確かめます

  6. 6

    受入テストと本番切替業務部門

    仕訳なし

編集部がまとめた一般的な流れの例です。

会計の知識が問われるのは、科目の設計と移行です。残高が合わないまま切り替えることはできないからです。

移行で残高を合わせる場面

売掛金の残高移行
借方金額貸方金額
売掛金5,000,000移行用勘定5,000,000
migration_balances
accountold_balancenew_balancediff
売掛金5,000,0005,000,0000
旧システムの期末残高を、移行用の勘定を介して新システムに入れる設計の例です。

会計システムのSEの仕事

job tagでは、顧客のシステムを受託開発するSEを「業務系SE」とも呼ぶと説明しています。要件定義では、顧客の伝票や書類の流れをつかむことが仕事に含まれます。会計の領域では、この伝票の流れが仕訳の流れになります。

中心になる設計テーマは次のとおりです。

このサイトのシステム設計のハブは、この仕事を想定して書いています。

社内SEの仕事

社内SEは、自社のシステムに責任を持つ立場です。自分でコードを書く時間より、業務部門の要望の整理やベンダーとのやり取りが多くなることもあります。比率は会社によって大きく違います。

会計に関わる場面では、法改正の影響を調べる仕事が目立ちます。新リース会計基準やインボイスへの対応が例です。上場企業などでは、IT全般統制の監査にも関わります。

システムの所在で考えると、3つの仕事がどのデータに触れるかが見えてきます。

3つの仕事が触れるデータの例

erp_config

  • id PK
  • company_code
  • setting_key
  • value

journal_interface

  • id PK
  • source_system
  • batch_id
  • status

journal_lines

  • id PK
  • journal_id FK
  • account_id FK
  • amount

change_requests

  • id PK
  • system
  • approved_by
  • released_at
  • journal_interface 1 — N journal_lines
説明用の例です。erp_config はERPコンサルタント、journal_interface はSE、change_requests は社内SEがよく見る情報の例として置いています。

年収の公的統計:分かることと分からないこと

厚生労働省のjob tagには、職業ごとの統計が載っています。ただし、次の点に注意してください。

job tagの職業 この記事の仕事との関係 年収 年齢 月の労働時間
ITコンサルタント 別名にERPパッケージコンサルタントを含む 889万円 38.3歳 173時間
システムエンジニア(受託開発) 業務系SEとも呼ばれる 578.5万円 37.1歳 159時間
システムエンジニア(基盤システム) 別名に社内SE(主に設計に従事するもの)を含む。説明はインフラが中心 889万円 38.3歳 173時間
運用・管理(IT) 別名にシステム管理者、システム運用管理者を含む。社内SE単独の値ではない 609.8万円 42.2歳 160時間

この数字の読み方で、大事な点が2つあります。

1つ目は、同じ値が複数の職業に出ていることです。889万円はITコンサルタント、基盤システムのSE、ITプロジェクトマネージャなどに、578.5万円は受託開発のSE、プログラマー、Webサービス開発のSEなどに共通して出ています。job tagも、統計はその職業だけの数字とは限らないと注記しています。

2つ目は、差の読み方です。889万円と578.5万円の差は、同じ人が転職して増える額ではありません。2つの区分は人の役職や会社の規模などをそろえて比べた数字ではないからです。

job tagには別の資料として、スキルレベル別の年収も載っています。厚生労働省が2023年度に実施した委託調査によるもので、金額は第1四分位から第3四分位の範囲です。

ITSSレベル ITコンサルタント(企画立案・プロジェクト管理) SE受託開発(設計・構築)
レベル1〜2 記載なし 420〜620万円
レベル3 600〜900万円 450〜700万円
レベル4 650〜950万円 500〜780万円
レベル5以上 700〜1,100万円 600〜950万円

こちらは賃金構造基本統計調査とは別の調査です。2つの数字を直接つなげて計算しないでください。範囲が広いことから分かるように、同じレベルでも年収には幅があります。job tagも、ITコンサルタントの給与は案件や成果で個人差が大きくなることがあると説明しています。

転職を考えるときの進め方

ここからは編集部の提案です。

まず、いまの仕事の中で業務に近づけないか考えましょう。経理との打ち合わせに入る、仕訳連携の改修を担当するなどの経験は、職務経歴書にそのまま書ける材料になります。

次に、説明できる形に整理します。たとえば「請求と入金の多対多をこの設計で解いた」と言えると、資格の名前より具体的です。

会計の知識を補うなら簿記2級の範囲が基本です。本で学ぶなら業務システムと会計の本を、資格を選ぶなら資格のハブを見てください。

求人を見るときは、次の点を確かめます。

  • 担当範囲:導入、開発、運用のどこまでか
  • 対象の製品と業務領域
  • 社内SEなら、内製の比率とベンダーへの委託の範囲
  • 繁忙期:決算や本番切替の時期の働き方
  • 年収の条件:求人票の固定給、賞与、残業代の内訳

IT×会計のキャリアの図解記事

よくある質問

ERPコンサルタントの平均年収はいくらですか?
ERPコンサルタント単独の公的統計は確認できませんでした。job tagはERPパッケージコンサルタントをITコンサルタントの別名として載せ、ITコンサルタントの年収を889万円(令和7年賃金構造基本統計調査の加工値)と示しています。ただし同じ値が複数の職業に出ているので、広い職業区分の数字として読む必要があります。
社内SEの年収の統計はありますか?
社内SEという職種単独の統計は確認できませんでした。job tagでは「社内システムエンジニア(主にシステムの設計に従事するもの)」がシステムエンジニア(基盤システム)の別名に含まれますが、その職業の説明はITインフラの設計が中心です。
SEからERPコンサルタントになるには経験が必要ですか?
job tagのITコンサルタントの説明では、システムの構築・運用の経験が長い人や、経営コンサルティングの経験があってITにも強い人が多いとされています。一方で、現場の経験を生かして就く道も増えています。ERPコンサルタントに限った説明ではなく、求人の条件は会社によって違います。
社内SEへの転職で簿記は役に立ちますか?
経理や販売のシステムを担当するなら、仕訳が読めると業務部門との話が進めやすくなります。ただし資格が採用の条件かどうかは求人によります。

出典

調べ方・間違いのお知らせ